キイロイセカイ 

豪州からこんにちは。クセ強すぎ夫と愉快な子供達との前途多難な日常生活

愛用中の読書アプリ

こんにちは。

 

今日のオーストラリアは雨です。iPhoneの天気アプリでは晴れになってるんですけどね‥これ全然当てになりません。スコールみたいに大雨が降ったりするので、油断なりません。

バスのマップも全然役に立たない事が多くて、乗り損ねる事も頻回に起きます。

とはいえ、便利なスマホ。今はもうなくてはならないパートナーですよね。海外にいると特にそう思います。翻訳アプリなんかは授業中は多用しますし、もうこれがなければどこにも行けません。

約20年前、夫がアメリカに留学していた時はスマホはなく、携帯電話はありましたが、電話とメールしか使う用途がなかったみたいです。日本のようにほぼ確実に時間通りに来るバスや電車と違い、海外はその辺かなり適当なので、ちゃんと乗りたいバスが来るのか?ここで合ってるのか?不安な気持ちで初日を過ごした話を聞きました。誰かに聞きたくても英語が分からない。翻訳機もない。仮に聞けても聞き取れないというなんとも心許ない海外生活を経験し、今でもあの時の学校へ行くバスの番号が忘れられないと言います。

信じられるのは自分の直感だけ。とにかく自力で乗り越えねばならなかったんですね。若い頃に、必死で英語を覚えなければ何も出来ない経験を積んだことは、少しだけ羨ましくもあります。若さゆえの勢いで何とかなる事ってありますよね。今は便利すぎてあまり考えなくてもスマホが解決してくれるし、脳がどんどん衰えて行くのを感じます。でもやっぱりこのスマホに依存した生活に慣れきってしまった私は、これがないとまともに買い物も出来ないかもしれません。

 

さて、今日はそんな便利なスマホの愛用しているアプリのお話です。

 

愛用するスマホアプリ

みなさんは普段スマホをどのように使用していますか?最もよく使うアプリはなんですか?

通話?音楽を聴く?SNS?ゲーム?

本当に色んな事が出来ますよね。海外にいても、気軽に日本と電話が出来るし、テレビ電話だって簡単です。クラスメイト達はみんなしょっちゅう母国の家族や友達とテレビ電話しています。そのお陰で寂しさも和らぎ、ホームシックも昔ほどないのかもしれません。母国に恋人がいる人も沢山いますし、ベトナム人のクラスメイトは5歳の娘が居るそうですが、単身留学に来ています。毎日授業が終わるとテレビ電話してますね。

私はというと、日本ではradikoというラジオアプリをよく利用してました。昔からラジオが大好きなんです。オーストラリアのラジオアプリもあって、リスニングの練習用に持ってますがまだちょっとその域に達してなくて眠らせてます。

ここ数年私が1番長時間愛用しているのは、Audibleというプロのナレーターや俳優、声優が朗読したオーディオブックやポットキャストを聴くことができるサービスです。

私は元々本を読むのが大好きで、10代20代の頃は活字中毒のように沢山の本を読み漁りました。ただ、私が好きなジャンルは決まっていて、それ以外のジャンルをあまり読んできませんでした。たまに貰ったり、旅先で適当に買ったりしたものもありましたが、基本的には好きな作家のものばかり読んでいました。一番好きな作家は江國香織さんですが、彼女の本は過去のものから新作まで全て買え揃え読破しています。何度も繰り返し読んだものもあります。

江國香織さんは“恋愛小説の女王”と称されていて、恋愛小説を中心に様々なジャンルを手掛けています。でも私は恋愛小説が好きなわけではなくて、江國香織さんが書く文章が好きなんです。海外のものを翻訳したり、児童書やエッセイ、詩集なども出されていますがその全てが大好きです。彼女の書く文章は静かで、例えば雨の日の少し暗くてしっとりとした肌寒い空気の中で読むのが似合うような感じ。そういえば江國さんは雨がお好きだそうで、その空気感が文章にそのまま映し出されたような感じがします。でも時にはカラッと気持ちの良い温かな文章もあったりして、その日の気分で好きな本を選んで読むのが好きでした。

移住に伴いある程度整理しましたが、江國さんの本だけは手放すことが出来ず、実家に置かせてもらっています。一冊だけ選んで持ってきたのは、旅ドロップという江國さんの旅にまつわるエッセイです。本当に旅するように生活している今の気分にぴったりで即決でした。タイトルもいいですよね。他の本のタイトルや表紙も秀逸で、読む前にじっくりと鑑賞してから中身に入るのが好きです。

▲江國香織さんのエッセイ。表紙も可愛くてお気に入りです。

10代の頃から20年以上江國作品を愛してやまない私なので、つい熱くなってしまいますが、江國さんの本は絶対に紙媒体がいい。それはもう圧倒的に。私はkindleも持っていて、スマホとも連動させているので、いつでもどこでも気軽に読むことは可能なのですが、味気ないというか、江國さんの文章と電子機器の無機質な感じがなんとなくしっくりこない。どうしても合わない。私は本についている帯も好きだし、しおりを挟む行為も好きです。愛用のしおりは15年くらい前に友達が新婚旅行で行ったヨーロッパ土産で、ドラクロワの民衆を導く女神が描かれているもの。ドラクロワが凄く好きなわけではないのですが、なんだか愛着が湧いて大切に使っています。電子ではそのしおりも使えない。凄く簡単で便利なのは分かるんですけどね。

▲ウジェーヌ・ドラクロワの民衆を率いる自由の女神

今のところKindleは主に漫画と英語の参考書用として使っています。しかもここ数年は子育てで忙しく、自由に本を読む時間がなくて、それなら少しでも長く眠りたい気持ちが勝ってました。でもやっぱり本が読みたい。そんな時に知ったのがAudibleで、文字を読む事は出来ないけど、音楽を楽しむ感覚で聴く事が出来て内容や読み手によって臨場感も味わえます。これも最初はかなり半信半疑で、とりあえずお試しをやってみたんですが、今ではすっかりハマってしまいました。料理している時や移動中、バスを待っている時や就寝前など隙間を見つけて聞いています。月1500円の会費が最初は高く感じましたが、月の試聴時間と本の数を考えると元が取れていたので会員を続けています。ただ、難点というか個人的には私が好きなジャンルはなんとなく聴きづらいというか合わない感じがして、通常の紙媒体なら選ばないジャンルばかり聞いています。

最初の一冊目は当然大好きな江國さんのものを選びましたが、どうも私の感覚と合わない。プロの声優が読み手だと上手すぎるというか、ただ読むのではなく演じてるので感情が声に込められすぎているのが気になってしまいます。一冊だけ短編集の中の一つに江國さんのものがあり、読み手は若手俳優の女性で内容とマッチしていてこれは凄く好みでしたが、その他の作品は私には合わず最後まで聴けませんでした。(そもそも江國作品がAudibleに中にあまりありませんが)

色んな読み手で色んな本を試聴しましたが、特に気に入ったのは俳優が読んでいるものでした。声のプロである声優よりも、淡々と読み進める俳優の声の方が私にとってはスッと入ってきて聴き心地が良いみたいです。でもこれは本当に個人差で、レビューを読むと俳優の声は籠って聞き取りづらいという意見もよく見るので完全に好みの問題です。色んな作家のものを聴いていくうちに気づいたのが、Audibleで聴くならSFや歴史、ミステリーが相性が良い事です。まるで映画を見ている様な感覚で聞けるのが凄く良いです。今まで殆ど手を出してこなかったジャンルなのが新たな発見で面白いです。

心を丸ごと持っていかれた小説

今までで一番良かったのは、紀行小説ですが沢木耕太郎さんの深夜特急です。古い小説ですがあまりにも有名なこの本、少し前から俳優の斎藤工さんがラジオで朗読されているものがAudibleで聴けます。斎藤工さんはその声質の良さもさることながら、彼自身単身海外へ渡りバックパッカーを経験したり、旅費を稼ぐためにパリコレに挑戦したりとその背景が説得力に繋がり、かなり聞き応えのあるものになっています。

深夜特急はシリーズもので、初版は1986年と40年近く前の小説ですが、これに影響された当時の若者がこぞってバックパッカーとして世界を旅した逸話が有名です。斎藤工さん自身も若い頃影響された一人だそう。私もずっと以前からこの存在は知っていました。でもなんとなく手が出ないまま年数が経ちましたが、どうしてもっと早くに、出来れば20代までのうちに読まなかったんだろう!と後悔する小説でした。私がわざわざ語るまでもなく有名な小説ですが、Audibleで聴いているとまるで自分が旅しているような感覚になってきます。Audibleではまだシリーズの途中なので、次回の更新が楽しみで仕方ありません。

▲Audibleでは今シーリーズ5まで聴くことが出来ます。

最近クラスメイトの若い日本人の男の子に、この深夜特急を勧めてみました。彼は小説はおろか映画も漫画も読まないという事で、軽く教えたつもりでしたが、やはり海外に留学しにきているだけあって、刺さりまくったそうです。実写化もしているのでそれも観たそう。20代前半の若者に教える事が出来て嬉しかったです。私の言葉を素直に聞き入れる彼の素直さにもなんだか感激しました。

 

次に一時帰国するときはまた別の一冊を連れて来ようと思います。

 

ではまた。

本日もお読み頂きありがとうございました。